【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「逢いたかったわー!」
何故か、ギューッと、抱き締められた。
「えぇ……!?」
滅多に驚かない私は、思わず、声を上げる。
「沙耶ちゃん!?どうかしたかい!?」
私の声に気づいて、私の主治医の姫宮先生……夏翠のお父さんが飛び込んできた。
「前、通ってたら、叫び声が聞こえたんだけど……具合が悪い訳じゃないね?」
「あ……はい、ごめんなさい」
両親の本家とも呼べる家は、本来は京都だ。
母さんと出会い、“あの事件”があるまでは、住んでいた家。
「君の発作は、簡単なものじゃないからね。倒れて、入院しているときくらいは大人しくしていた方が良いんだけど……どうやら、原因は彼女のせいだろう?」
私が生まれ、入院していたのも、この病院。
昔、手を尽くしてくれたのも、姫宮先生だと聞く。
『まさか、夏翠の友達とはね……』
先生は、驚いていたけれど。
「はい。名前を呼ばれたから、返事したら……抱き締められて」
「はぁ……仕事を詰め込んだのかな。京子、起きなさい。沙耶ちゃんから、離れて」
下を向けば、眠っている彼女。
「えっ、今の一瞬で!?」
「驚くのは、無理もないけど……いつも、なんだ。全然、眠らなくてね。たまに、強制的に眠らせるんだが……また、寝不足みたいだ。今回は、何日起きていたんだか……」
「はあ……」
どうやら、姫宮先生の知り合いらしい。