【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1


「娘さん……ではないですよね。だったら、夏翠の姉妹になるでしょうし。夏翠が一番上ですし……」


「僕は、嫁さん一筋。娘は三人だけだよ」


……その話は、嫌と言うほどに、夏翠から聞かされている。


『父様は、仕事はできるんだけどねぇ……母様や、私たちが絡むと、一気にアホに……』


……だそうだ。


「夏翠の下に、双子の姉妹でしたっけ?」


「ああ、そうだよ。亜翠と美翠……片割れは男前で、片割れはお姫様な、ちょっぴり変わった姉妹だ」


「変わった?」


私から、女性を引き剥がし、近くのソファーに寝かせた姫宮先生は、クスリと笑う。


夏翠にそっくりな笑顔に、自然とほだされる。


「台詞がヤバイよ。おままごとの時とか。例えば……『お前は、私のものだろう。だから、誰にも渡さぬ。私に護られていれば、良い』……って、亜翠が言えば、美翠が『私を連れて逃げて!王子さま!』だからね」


……なんちゅう、双子だ。


「それは……どっちに突っ込んだら良いのか……」


「沙耶ちゃんも、そう思う?」


「まあ……」


そんな双子にはお目にかかったことがないので、是非、お目にかかりたいものだ。


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