【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1


「美形一族……なんや、おもろい言い方すんなぁ。別に、私らはなにもしておらへんよ。整形とかをしとるわけでもないし」


「俺の場合は……記憶に微妙にある祖母も、それなりに美しい人だったから……やっぱ、遺伝だな」


彼はそう言いながら、懐から写真を取り出す。


差し出された写真に写るのは、私とあまり年が変わらないくらいの椿を抱えた、美しい女の子。


長い黒髪に、鮮やかな椿の描かれた着物。


「……綺麗な、人ですね」


「だろ?俺が惚れた、唯一無二だ」


「え?じゃあ、まさか……焔棠、千夏さん?」


「そうだよ。名前は知ってるんだな。千夏の写真だ。これを撮ったのは、あいつが26の時か」


「……はい!?」


雪さんの言葉をのみこんで、声をあげる。


「この見た目で、26!?」


「?……ああ」


(そりゃ、薫が綺麗なはずだよ!)


驚いた顔をしている雪さんは、続いて言う。


「眠っている桜は、千夏に瓜二つだよ」


「桜……」


焔棠桜。


焔棠雪の孫娘でありながら、不遇な運命に巻き込まれ、事故に遭い、植物状態となった私と同い年の女の子。


現在、姫宮病院の一般人は知らない部屋で、眠り続けているらしい。


(……ん?)


そのことも、相馬が話してくれた前世に関わるらしいが……その前世の影響か、桜と薫は恋人同士。


いや、今の世の中、三親等以上は結婚できるけど。


二人は、四親等だから結婚は可能なんだけど。


ことのつまり、雪さんの孫はこの二人と、雪さんの長女である華さんの娘さん、姫佳ちゃんのみ。


その二人がくっつくということは……?


「……焔棠は、次世代も強者揃いですね」


美しい貌の人間が増えるということだ。


「恐ろしい!焔棠家のDNA!」


本気で、恐怖を感じる。



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