【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「沙耶も十分に美人さんやないか」
(その言葉、あなたが言うと嫌みしか聞こえません…!!)
相馬の姉ということもあってか、男にモテそうな彼女。
「健斗の娘だからな。ユイラも、美人だし」
どうやら、桁外れなイケメンに綺麗で美しい容貌だと言われるくらいには、家の両親は美貌であるらしい。
「……その他が目立ちすぎて、全然、わかりませんけどね」
容貌はともかく、両親の性格は難有りだ。
父さんは言うまでもなく、母さんも中々に酷い。
「他が目立つ、か。確かにユイラも健斗も怒らせたくはないよなぁ……」
なんて、目の前でのんびり言う彼だが、父さんをあそこまで育てたのは彼である。
「……雪さんの教育の賜物ですよね」
嫌みたっぷりに言えば、
「……ちょーっと、手を貸しただけだぞ?」
彼はとぼける。
「なんや、沙耶の父親は雪さんの教育の賜物なんか?そら、ろくなもんではないな。絶対、異常に育っとる」
雪さんに育てられた子供たちを知っている京子さんは、そう言って、笑う。
「お前、失礼極まりねぇな」
「そんなことを言うたって、総一郎兄さんも、うちも、水樹も氷月も、相馬や雅さん、京さん、梅ちゃん……全員、雪さんの教育やろ?」
「……」
雪さんは、無言でタバコを消す。
因みに、総一郎さんは京子さんの兄……即ち、御園五人兄弟の一番上である。
雅さん、京さん、梅ちゃんというのは、雪さんの子供たちで、(長女の華さんは目を見開くくらいのマイペースなほんわか癒し系のため、除外)雅さんは薫の父。京さんは桜の父らしい。
すでに故人のため、私はあったことはないが、梅ちゃんは噂に聞いている。
雪さんの最愛の妻であった千夏さんが高齢出産の末に生まれた子供で、確か、薫より9歳上の人だったと思う。