【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「……希望がないんです。生きる希望が。私がいれば、人が傷つく。お母さんも、お父さんも、私のせいで傷ついた。大兄ちゃんだって、私がいなければ、笑っていたはずだった。両親に囲まれて、好きに甘えて……」
その権利を奪ったのは、私。
私が、大兄ちゃんの両親を奪ったから。
『うるせぇ!なんで、伯父さんのことを親父って呼ばなきゃならねぇんだ!?俺の親父は、あんただろが!』
ずっと、ずっと、鳴り響く。
『沙耶?……従妹だよ。妹じゃない』
大兄ちゃんの、叫び声。
『父さん……っ!』
私が、奪った。
「生きる希望、それはどこにあるんですか……」
弱々しい声。
綺麗な言葉を吐く、最低な口。
「そんなもの、俺が知るか」
……突き放すなら、そんなことを言わないで。
忘れていたいから。
この気持ちは。
(せめて、最後まで笑っていたいから)
私が笑っていれば、みんな、安心してくれた。
だから、笑ってた。
でもね、その度に大兄ちゃんの顔は歪んでく。
笑っているために、見ないふりした幼い私。
(……最低だ)
“生まれてこなければ、良かったのに”
何度も、言いかける言葉。
こんなことを口に出せば、相馬は止める。
少なくとも、相馬はそういう人間だ。
どんなに口でひどいことを言っても、最低なことをしていても、任されたものは責任持ってやる。
優しいから、優しすぎるから、傷つくことを恐れる。
どんなに、自分が大変なときでも、側にいてくれる。
ご飯を奢ってくれたり、私に気をかけてくれる。
柚香も同じで。