【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
過去の記憶
□夏翠side■
「あんの、くそジジイ!」
そう言った幼なじみを見ながら、新しい制服に身を包んだ夏翠は、桜の木の下を歩いてく。
「仕方ないでしょ。行けって言われたんだから…」
一ヶ月ほど前。
目の前を歩く不機嫌な幼馴染みの祖父であり、夏翠を実の孫のように可愛がってくれる、焔棠家を成長させた伝説を残す男―…“戮帝”に言われ、本来なら、通う予定だった学校から急遽、薫本人に内緒で、志望校を変え、隣の県の学校に転入してきた。
「雪さんは、無意味なことをする人じゃないし…大丈夫だよ!」
そう。
彼は、無駄なことはしない。
無駄をする時間が、もったいないと考える人だから。
「……その自信がどこからくるんだ?いい加減にしてくれ。折角、桜から離れなくて済むようにしていたのに……」
薫の瞳が、悲しみに揺れる。
(薫も、分かっている……)
雪さんのこの行動の意味を、彼もわかっている。
同じ性格をしているから。
けど、分かっていても、許せないのだろう。
黙って動かした、祖父のことが。
「あんの、くそジジイ!」
そう言った幼なじみを見ながら、新しい制服に身を包んだ夏翠は、桜の木の下を歩いてく。
「仕方ないでしょ。行けって言われたんだから…」
一ヶ月ほど前。
目の前を歩く不機嫌な幼馴染みの祖父であり、夏翠を実の孫のように可愛がってくれる、焔棠家を成長させた伝説を残す男―…“戮帝”に言われ、本来なら、通う予定だった学校から急遽、薫本人に内緒で、志望校を変え、隣の県の学校に転入してきた。
「雪さんは、無意味なことをする人じゃないし…大丈夫だよ!」
そう。
彼は、無駄なことはしない。
無駄をする時間が、もったいないと考える人だから。
「……その自信がどこからくるんだ?いい加減にしてくれ。折角、桜から離れなくて済むようにしていたのに……」
薫の瞳が、悲しみに揺れる。
(薫も、分かっている……)
雪さんのこの行動の意味を、彼もわかっている。
同じ性格をしているから。
けど、分かっていても、許せないのだろう。
黙って動かした、祖父のことが。