【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
柚香は、私に言った。
『沙耶は優しすぎる』んだって。
いつのまにか、大好きな幼馴染みのことも騙す私。
嘲笑が漏れる。
私は優しくなんかない。
私は、醜い。
汚い。
心が、汚い。
「なら……どうしろと?」
努力なら、散々、やった。
あと、私がしなければならないものは、復讐のみ。
自分の口から、低い声が出て。
立ち上がり見れば、雪さんは笑みを深め、薫は驚き、京子さんは青い顔をする。
「……私にっ、どうしろと……!?いきなり拐って、ここまでつれてきて!相馬との話!?そんなもん、ないですよ!勝手なことを、言わないで!」
ムカついたから、殴った。
それだけだ。
「私は、私の好きなようにしているだけ!生きるために、復讐するために……っ!……はぁ、はぁ、はぁ……」
苦しかった。
逃げられない、過去から。
目をそらす、最低な自分が。
人を騙してなお、笑っている自分が。
「……もぉ、やだ……」
頑張ってきた、つもりだった。
「なんでよ……」
知らないで、いたかった。
「なんで……」
忘れたままで良かった。
「……」
あの日、パーティになんて、行かなければ良かった。
滲む視界に、痺れた足。
(嗚呼、私は今日も生きてる)