【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「やっ、やめて……草蘭っ!草蘭!」
過去の娘の名前を呼ぶ、沙耶。
「連れてかないで……っ!!その子を返して!」
泣き叫びながら、我が子を求める。
手を伸ばす。
何もない、空中へ。
そして。
「……っ、ぅし……どうして……どうしてよぉ………っ!!」
泣き崩れるように、腕を下ろした。
両手で顔を覆い、泣きじゃくる。
壊れた人形のように。
普段の沙耶からは、考えもつかなくて。
「泣くなよ……」
俺は、何度もその言葉を繰り返す。
「うっ……ふぇ……」
けれど、何度言っても、泣き止まない。
「沙耶!」
力強く、肩を掴んでそう呼べば。
「……もう、駄目だよ……」
沙耶は、そう呟く。
涙を流しながら、らしくもなく、俯いて。