【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「……沙耶、辛いなら、忘れろ」
そう言えば、首を振る。
……横に、沙耶は振るんだ。
「私が、忘れちゃったら……草蘭、消えちゃう……」
愛娘の名前を、呼んで。
「お前は、お前!夕蘭は、夕蘭だ!」
彼女は、震える。
「…………って……だって……!!」
魂が同じでも、人柄が同じなものか。
それと、一緒でどうでも良いんだ。
「……今を、大切に生きられないのなら、そんな記憶、捨てちまえ。な?」
大切なのは、今。
この瞬間。
過去とか、前世とかは、必要ないんだ。
今、ここで息することには。