【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「……ぃや」
「……沙耶?」
「記憶を、失うのは、嫌……だって、これは、相馬との思い出だって、あって……」
「沙耶……」
「もぉ、無理だ……私、もぅ……」
はは、と乾いた笑みを浮かべる沙耶。
「……大丈夫だ。そんときは、俺が手を引いてやる。お前が迷子にならないように、側にいてやる。だから、頑張れ。もう少し、自分を信じろ」
彼女の病気は、自分に対する怒りからくるもので。
「……俺はお前がいたから、あの日、苦しまなくてすんだ。お前がいたから、柚香だって、真姫だって、笑えるんだ。お前がいたから、夏翠だって前向けた」
底無しの元気よさと、
容赦のない言葉。
生きる希望がないと嘆く沙耶が、生きる希望になった人間は、たくさんいる。
「……本当かなぁ。私……役に立ってるのかな……」
自分の価値を低く見て、真実を隠す彼女は、強いわけがない。
本当は、とても弱い女の子で。
強くなろうと、努力しているだけで。
「立ってる!」
少なくとも、俺の生きる希望には。