【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「…なるほど?」
超低音ボイスを出したのは、勿論、沙耶の言う新しい先生こと桐生飛鷹。
「…で?」
沙耶からの情報を聞きながら、殺気全開の飛鷹は、笑っているのに、笑っていない。
「…まぁ、蹴っておきましたし、大丈夫ですよ。場合によっちゃ、潰しますんで」
にっこり笑った沙耶は、飛鷹にそう言うと、今まで黙っていた面子も口を開いた。
「…夏翠、怪我は?」
そう尋ねたのは、蒼生。
「無いわ。澪と沙耶さんが守ってくれたから」
「そっか…」
「でも、一応、病院に…」
「飛鷹、大袈裟にしないで。私はなにもしていないから、怪我なんてしてないわ」
飛鷹は、とても夏翠を大事にしている。
仕事柄、彼は夏翠の護衛なので、ってか、そのためにこの学校の教師になったので、仕方がないのだが…
「私は無傷よ」
理由は、それだけではない。
「心配をかけて、ごめんなさい」
二人が想い合う、恋人同士だからだ。
だからこそ、互いを思いやる。