【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
時刻は7時過ぎ。

部活も入っていないし、彼氏なんかもつくる気のない沙耶にとっては少しだけ、早い時間。

「…沙耶、勇真の言うことを聞いてやれ。じゃないと、学校にいかせてもらえないだろ?」

「…それも、そうね」

「いや、俺の扱い、雑じゃね?」

大樹の言葉に沙耶が頷けば、勇真は不機嫌そうに言った。

年頃の反応ではないそれに、沙耶は吹き出す。

「あははっ、ごめんごめん。でも、本当に大丈夫だから。行ってきます!」

ローファーを履き、振り向けば。
兄達は優しく笑った。


(…優しすぎるんだから)


家をでて、少し先の大通りを目指す。

高級住宅街に建つ沙耶の家は、その周辺より一回り倍にでかく、注目を集めることがある。

一言で言うところの豪邸。




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