【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「わかっているけど…んなことを言ってたら、いつまでたっても、続くだろ?何なら、会わせてみるのが一番だし」
「え、沙耶と兄さんを会わせる気?」
信じられないという顔で、水樹を見る氷月。
「ああ」
当然というようにそう言った水樹は、ポケットからスマホを取り出すと、画面をタップする。
「もしもし?兄さん?」
―…相馬の過去と、沙耶の過去。
そして、前世からの因縁。
その全てが絡み合い、ほどけたとき、彼女たちは笑っているのだろうか?
お互いだけを愛し抜く。
簡単なようで、難しいそれは、全てを絡み付けたまま、真実のもとへと、連れていく。
『貴方のことは愛さない』
凛とした一人の女の言葉は、閉じた男の心に響く。
『女をナメんな…っ!!』
果たして、彼等の再会は正解だったのか。
相馬は幸せを見つけるのか。
そんな未来は、わからない。
けれど、沙耶なら。
相馬を救える。
そんな確信が心のどこかにあったのを、薫は認めていた。
相馬を変えることができるのは、沙耶だけ。
昔から、変わらない草志が、相馬が追い求めるあの女だけなのだ。