聴こえる
「は?」
「大和くん、いつも教科書ないし寝てるくせにテストの点数いいもんね。頭がいいのかな?それとも本当はちゃんと授業聞いてたりして。」
まぁ家では勉強している
人が多いこの空間で何かをしたくないだけだ
僕は一匹狼なんかではない、ただの人付き合い苦手なコミュ障だ
「私に勉強教えて欲しいなー。私頭悪いから、理解能力なくて点数悪いんだよね、ふふふ」
……笑顔が可愛い
なんて思ってしまった僕
あぁ思い出した、こいつはクラスの人気者だったな
「携帯持ってる?メアド交換しよ!」
「こら!コソコソと話すんじゃない!」
……あー、また怒られた
また視線が集まるし、しかも今度はこの女がいるから余計に長く見られてる
眠れないし、天気悪いし、視線集まりまくるし、今日は散々だ
「…へへ、怒られちゃったね」
そう言いながら アドレスの書かれてる紙をそっと僕に渡してきた
数少ないアドレス帳の中に1人、新しく保存された
「長谷川奈々」