華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
真剣に諭す彼女を見て、私の胸はじわじわと温かくなる。
幼い頃からとても優しく、面倒見がよかったミネル姉様。お父様以上に私のことを気にかけてくれた、大好きな姉だ。
今も、こうやって心配してくれることが、とても嬉しい。
「ありがとう、姉様。……でも私、もう十分守られてきたから」
穏やかな微笑みを絶やさずに言うと、姉様の張り詰めていた表情が一瞬緩んだ。
「本当はね、ずっと外の世界に出てみたかったの。ひとりでのんびり旅をしてみたいなーなんて、憧れたりもして」
あえて明るい調子で、冗談っぽく本音を口にした。そして目を伏せると、少し笑みを消して「それに」と続ける。
「私は今まで、お父様のために何もしてあげられていない。自分には何ができるかもわからなくて、それが心苦しかったりもした」
『お前は城の中にいればいい』とだけ言われて、それに従うしかできなくて。私はなんのためにいるのか、存在意義を見つけられずに悩んでいた。
唯一決められているのは、将来、クラマイン国の王子と結婚するということ。そのためだけに必要な存在なのかもしれないと思うと、とても悲しかった。
私でも、役に立つことができるのだと証明したい。今回のことはお父様のためだけじゃなく、自分のためでもあるのだ。
幼い頃からとても優しく、面倒見がよかったミネル姉様。お父様以上に私のことを気にかけてくれた、大好きな姉だ。
今も、こうやって心配してくれることが、とても嬉しい。
「ありがとう、姉様。……でも私、もう十分守られてきたから」
穏やかな微笑みを絶やさずに言うと、姉様の張り詰めていた表情が一瞬緩んだ。
「本当はね、ずっと外の世界に出てみたかったの。ひとりでのんびり旅をしてみたいなーなんて、憧れたりもして」
あえて明るい調子で、冗談っぽく本音を口にした。そして目を伏せると、少し笑みを消して「それに」と続ける。
「私は今まで、お父様のために何もしてあげられていない。自分には何ができるかもわからなくて、それが心苦しかったりもした」
『お前は城の中にいればいい』とだけ言われて、それに従うしかできなくて。私はなんのためにいるのか、存在意義を見つけられずに悩んでいた。
唯一決められているのは、将来、クラマイン国の王子と結婚するということ。そのためだけに必要な存在なのかもしれないと思うと、とても悲しかった。
私でも、役に立つことができるのだと証明したい。今回のことはお父様のためだけじゃなく、自分のためでもあるのだ。