華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
こんなに、宝物を扱うみたいに優しく抱きしめておいて、説得力ないんですが。やっぱり謎だ、この人の思考回路は。
なんだかおかしくなってきてクスクス笑うと、ようやく手が離された。少し照れつつ後ろを向くと、いつもの涼しげな表情の彼がいる。
「これで安心して寝れるか?」
「うん、ありがとう」
いつの間にか涙も止まっていて、だいぶ気持ちが軽くなったことを実感しながら、私は微笑んで頷いた。
そして確信する。きっとセイディーレは、私を安堵させるために、わざわざ皆の無事を確認してきてくれたのだろう、と。
あなたのそういう隠れた思いやりを、私はどうしようもなく愛しく思うよ。
…………ん? 愛しい?
「……どうかしたか」
「あ、ううん、なんでも! おやすみなさい」
一瞬考え込みそうになってしまった私は、彼の声ではっとして笑顔を向けた。自然と湧き上がってきた感情に戸惑いつつ、そそくさと部屋を出る。
パタン、と閉めたドアを背にして、深く息を吐き出した。
鼓動のスピードはまだ若干速くて、ざわめいたまま。抱きしめられていた感覚も、しっかり残っている。
今日はいろいろなことがあって、とても長くて色濃い一日だった。その終わりに、新たな問題が浮上してしまうとは。
家族に対するものとは違う、“愛しい”というこの感情の正体は、まさか──。
なんだかおかしくなってきてクスクス笑うと、ようやく手が離された。少し照れつつ後ろを向くと、いつもの涼しげな表情の彼がいる。
「これで安心して寝れるか?」
「うん、ありがとう」
いつの間にか涙も止まっていて、だいぶ気持ちが軽くなったことを実感しながら、私は微笑んで頷いた。
そして確信する。きっとセイディーレは、私を安堵させるために、わざわざ皆の無事を確認してきてくれたのだろう、と。
あなたのそういう隠れた思いやりを、私はどうしようもなく愛しく思うよ。
…………ん? 愛しい?
「……どうかしたか」
「あ、ううん、なんでも! おやすみなさい」
一瞬考え込みそうになってしまった私は、彼の声ではっとして笑顔を向けた。自然と湧き上がってきた感情に戸惑いつつ、そそくさと部屋を出る。
パタン、と閉めたドアを背にして、深く息を吐き出した。
鼓動のスピードはまだ若干速くて、ざわめいたまま。抱きしめられていた感覚も、しっかり残っている。
今日はいろいろなことがあって、とても長くて色濃い一日だった。その終わりに、新たな問題が浮上してしまうとは。
家族に対するものとは違う、“愛しい”というこの感情の正体は、まさか──。