華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
「皆にほとんど知られていない私がいなくなったって、困ることは何もないしね」
「私が困ります」
きっぱりと言い放った彼は、わずかに眉尻を下げ、苦しげな表情を見せる。
「もしもあなたに何かあったらと思うと、心が切り裂かれるくらい苦しい」
姉様と同じく、とても心配してくれている様子を見ると、私も少し胸が痛む。
セアリエは、私が幼い頃からずっと成長を見守ってくれていた、家族のような存在。だからきっと、ほかのどの騎士よりも私のことを思いやってくれているだろう。
「……心配しないで。あなたのためにも、必ず戻ります」
安心させるように柔らかく微笑むと、彼の表情も少しだけ緩んだように見えた。
もう一度、姉様たちに挨拶をしてから、少しのお金と食料を持ってメーラの背中に跨がる。
時刻は午前八時。クラマインに着くには、おそらく半日かかるだろう。
「メーラ、これからよろしくね」
たてがみを撫でながらひと声かけ、返事をするように鳴いた彼のお腹を蹴る。
不安と期待、そして必ず薬草を見つけて帰るという意志を胸に、私はついに城を飛び出した。
「私が困ります」
きっぱりと言い放った彼は、わずかに眉尻を下げ、苦しげな表情を見せる。
「もしもあなたに何かあったらと思うと、心が切り裂かれるくらい苦しい」
姉様と同じく、とても心配してくれている様子を見ると、私も少し胸が痛む。
セアリエは、私が幼い頃からずっと成長を見守ってくれていた、家族のような存在。だからきっと、ほかのどの騎士よりも私のことを思いやってくれているだろう。
「……心配しないで。あなたのためにも、必ず戻ります」
安心させるように柔らかく微笑むと、彼の表情も少しだけ緩んだように見えた。
もう一度、姉様たちに挨拶をしてから、少しのお金と食料を持ってメーラの背中に跨がる。
時刻は午前八時。クラマインに着くには、おそらく半日かかるだろう。
「メーラ、これからよろしくね」
たてがみを撫でながらひと声かけ、返事をするように鳴いた彼のお腹を蹴る。
不安と期待、そして必ず薬草を見つけて帰るという意志を胸に、私はついに城を飛び出した。