華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
尊敬していると、アンジェは首を回しながら苦笑した。
「まぁね。でも、ここで育てた野菜をたくさん売って儲けることで、セイディーレ様に恩返しができるから」
「恩返し?」
どういうことか気になって反すうする私に、アンジェは「ちょっと休憩しよ」と言い、菜園の脇に置かれたベンチへと歩いていく。
おいでおいでと手招きされ、私も隣に座ると、彼女はおもむろに話し始めた。
「うち、元々すっごい貧乏でね。父さんはあたしが小さい頃に亡くなって、母さんも身体が弱かったから、ほぼホームレスみたいな生活してたの。で、もう身を売るしかないかなーと思って」
「えっ!?」
身を売るだなんて話が飛び出したので、私はギョッとした。おかしな顔をしているだろう私を見て、アンジェはおかしそうにけらけらと笑う。
「売ってないよ。売ってないけど、勇気を出して誘惑しようとした相手が、まさかのセイディーレ様だったわけ。そのときは指揮官だなんて知らなかったから。そうしたら彼、なんて言ったと思う?」
意外な事実に驚きつつ小首を傾げると、彼女はひとつ咳払いをして腕を組み、声を低くして言う。
「まぁね。でも、ここで育てた野菜をたくさん売って儲けることで、セイディーレ様に恩返しができるから」
「恩返し?」
どういうことか気になって反すうする私に、アンジェは「ちょっと休憩しよ」と言い、菜園の脇に置かれたベンチへと歩いていく。
おいでおいでと手招きされ、私も隣に座ると、彼女はおもむろに話し始めた。
「うち、元々すっごい貧乏でね。父さんはあたしが小さい頃に亡くなって、母さんも身体が弱かったから、ほぼホームレスみたいな生活してたの。で、もう身を売るしかないかなーと思って」
「えっ!?」
身を売るだなんて話が飛び出したので、私はギョッとした。おかしな顔をしているだろう私を見て、アンジェはおかしそうにけらけらと笑う。
「売ってないよ。売ってないけど、勇気を出して誘惑しようとした相手が、まさかのセイディーレ様だったわけ。そのときは指揮官だなんて知らなかったから。そうしたら彼、なんて言ったと思う?」
意外な事実に驚きつつ小首を傾げると、彼女はひとつ咳払いをして腕を組み、声を低くして言う。