華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
馬乗りになったセイディーレは、ラシュテさんのシャツの襟を引っ張り、声を荒げる。
「彼女になにをした? 答えろ!」
「ククッ……そんなにムキになって、黒の騎士殿が滑稽ですねぇ」
ラシュテさんは挑発するように笑い、険しい表情のままシャツを握るセイディーレの手は、怒りで震えているように見えた。
「お前を牢屋に放り込んだ俺へのあてつけか。くだらないことを」
「彼女が具合悪そうにしてたんで、病院に連れて行ってあげようとしただけですよ」
うわ、平然と嘘をついた! 具合が悪くなったのは誰のせいだと思ってんのよ!
熱くて少し苦しい胸を押さえて驚愕していると、ラシュテさんは薄ら笑いを浮かべてさらにこんなことを言い出す。
「俺が悪さをしているところを見たわけじゃないでしょう。それなのに暴力を振るうんですか? それとも、あのときみたいにまた牢屋に──」
彼が挑発を続けていた最中、グサッ!という恐ろしい音が響いて、私は息を呑んだ。
それはラシュテさんも同じだっただろう。自分の喉のすぐ横の地面に、セイディーレの剣の切っ先が突き刺さっているのだから。
「彼女になにをした? 答えろ!」
「ククッ……そんなにムキになって、黒の騎士殿が滑稽ですねぇ」
ラシュテさんは挑発するように笑い、険しい表情のままシャツを握るセイディーレの手は、怒りで震えているように見えた。
「お前を牢屋に放り込んだ俺へのあてつけか。くだらないことを」
「彼女が具合悪そうにしてたんで、病院に連れて行ってあげようとしただけですよ」
うわ、平然と嘘をついた! 具合が悪くなったのは誰のせいだと思ってんのよ!
熱くて少し苦しい胸を押さえて驚愕していると、ラシュテさんは薄ら笑いを浮かべてさらにこんなことを言い出す。
「俺が悪さをしているところを見たわけじゃないでしょう。それなのに暴力を振るうんですか? それとも、あのときみたいにまた牢屋に──」
彼が挑発を続けていた最中、グサッ!という恐ろしい音が響いて、私は息を呑んだ。
それはラシュテさんも同じだっただろう。自分の喉のすぐ横の地面に、セイディーレの剣の切っ先が突き刺さっているのだから。