華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
……あぁ、どうしよう。どんどん愛しさが膨れ上がって、身体の奥が疼くのもわかる。

身も心も、セイディーレのものにされたい。そんなふうに思うのも恥ずかしいのに、真剣に願ってしまう。

媚薬のせいもあるのだろうけれど、それよりもっと大事な、“この人が好き”という気持ちが、私を淫らにさせているような気がするんだ。

元々持っていた恋心に拍車がかかって、もう抑えきれない。


「…………好き」


堪えられずにぽつりとこぼすと、柔らかな黒髪が動いて頬をくすぐる。


「え?」

「セイディーレが好き」


思い切って告白した瞬間、彼はぴたりと静止した。しかし、すぐに私の腕を掴んでゆっくり身体を離す。


「お前……」

「一時の気の迷いじゃない、本気だよ。あなたにもっと触れたいし、触れてほしい」


羞恥心はどこかに飛んでいってしまったかのように、正直すぎる発言をしていた。こんなことを言っても引かれるだけだと、百も承知なのに。

案の定、セイディーレは困りきった顔をして私を宥める。


「それは媚薬のせいだ。少し我慢すれば治まる」

「違う。それもあるだろうけど、誰にでもその気になるわけじゃない。あの人には嫌悪しか感じなかった」

< 168 / 259 >

この作品をシェア

pagetop