華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
「メーラ、もう少しだからね。頑張ろうね」
川の水を飲むメーラに声をかけ、ひと息ついてからまた出発。
林を抜けると、クラマインの市街地に向かう道と、目的の森に向かう道とに別れていた。
市街地のほうには、小高いところに立派な白い石造りの城がそびえ立っているのが見える。
あれがクラマインのお城か……。かつては要塞としての機能も兼ねていたというだけあって、美しいけれど、とても強固そうな感じ。
城に興味を惹かれつつも、メーラを走らせるのはもちろん森だ。城の裏手のほうにある、うっそうとしたそこに、約十分ほどで無事到着した。
「ここに、アルツ草があるのね……」
メーラの背から降りた私は、高い木々が生い茂る森を眺めて呟いた。
森の中は日差しが遮られていて、こんなに天気が良いのに薄暗い。なんだか不気味な空気も感じ、私はゴクリと息を呑んだ。
メーラも何かを感じ取ったようで、落ち着きがなくなる。
「だ、大丈夫! ただの森だし、迷いさえしなければ大丈夫よ、うん!」
メーラの身体を撫でて宥めながらも、自分に言い聞かせる。
そして一度深呼吸し、暗い森の中に向かって足を踏み出した、その時。
川の水を飲むメーラに声をかけ、ひと息ついてからまた出発。
林を抜けると、クラマインの市街地に向かう道と、目的の森に向かう道とに別れていた。
市街地のほうには、小高いところに立派な白い石造りの城がそびえ立っているのが見える。
あれがクラマインのお城か……。かつては要塞としての機能も兼ねていたというだけあって、美しいけれど、とても強固そうな感じ。
城に興味を惹かれつつも、メーラを走らせるのはもちろん森だ。城の裏手のほうにある、うっそうとしたそこに、約十分ほどで無事到着した。
「ここに、アルツ草があるのね……」
メーラの背から降りた私は、高い木々が生い茂る森を眺めて呟いた。
森の中は日差しが遮られていて、こんなに天気が良いのに薄暗い。なんだか不気味な空気も感じ、私はゴクリと息を呑んだ。
メーラも何かを感じ取ったようで、落ち着きがなくなる。
「だ、大丈夫! ただの森だし、迷いさえしなければ大丈夫よ、うん!」
メーラの身体を撫でて宥めながらも、自分に言い聞かせる。
そして一度深呼吸し、暗い森の中に向かって足を踏み出した、その時。