華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
記憶の断片は別れとともに
重い瞼を開くと、ぼんやりした視界に大好きな人の姿が映った。あぁ、私寝ちゃったんだっけ。
窓から外を眺めている彼は、すでに軍服に身を包んでいる。私だけ裸のままベッドの中で、なんだかとっても恥ずかしいし、いたたまれない。
もっと恥ずかしいことをしていたっていうのに、なにを今さらって感じだけど……。
先ほどの情事を思い返すとまた身体が火照ってきて、大きなブランケットを頭まで被って悶える。
地中深くに埋まっていたいよ……自分があんなふうに乱れるなんて思わなかった。
というか、今何時だろう。ベッドになだれ込んだときはまだ外が明るかったのに、もう闇が広がっている。
あれから何度も求められて、私も夢中になっていて、いつの間にか眠っちゃったから……。
って、ダメダメ! 淫らな記憶が鮮明に蘇ってきて、もう発狂しそう!
「リルーナ」
「ぅひゃっ!」
窓のところにいると思っていたセイディーレが、突然顔を覗き込んで声をかけてきたものだから、変な声を上げてしまった。
彼は一瞬驚いたように目を丸くしたものの、ぷっと吹き出す。その顔がとても無防備で、胸がキュンと鳴った。