華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
男性にこんなふうに触れられた経験などない私は、どうしたらいいのかわからずどぎまぎしてしまう。というか、なんでこんなことをしているの?
心臓が騒ぎ始めたとき、彼は無表情のまま、髪をよけて露わになった私の首に、ツツッと指を這わせた。
思わずビクッと肩をすくめたものの、彼の指にネックレスのチェーンがかけられたことに気づく。
これは、母の形見でもあるネックレス。涙型のロケットには、城の中庭で見つけた、幸せを呼ぶという言い伝えのある四つ葉のクローバーが入っている。
昔からずっと身につけていたそれを持ち上げ、じっくりと見る彼は、わずかに眉根を寄せる。
「お前……なぜハーメイデンの城を抜け出してきた?」
怪訝そうに問われ、はっとした。
このネックレスには王族の証である紋章が入っている。それを見たこの人は、私がハーメイデンの王族だと気づいたんだ。
どうしよう……もしも彼がクラマインの王族に私のことを話したら、大事になってしまうかもしれない。
面倒なことは避けたくて、私はとにかく頼み込む。
「お願いします、このことは誰にも言わないでください! 用が済んだらすぐに国へ帰りますから」
百八十センチ近くはあるだろう長身の男を見上げて切実に頼むと、彼は表情を変えずに、そっとネックレスから手を放した。
心臓が騒ぎ始めたとき、彼は無表情のまま、髪をよけて露わになった私の首に、ツツッと指を這わせた。
思わずビクッと肩をすくめたものの、彼の指にネックレスのチェーンがかけられたことに気づく。
これは、母の形見でもあるネックレス。涙型のロケットには、城の中庭で見つけた、幸せを呼ぶという言い伝えのある四つ葉のクローバーが入っている。
昔からずっと身につけていたそれを持ち上げ、じっくりと見る彼は、わずかに眉根を寄せる。
「お前……なぜハーメイデンの城を抜け出してきた?」
怪訝そうに問われ、はっとした。
このネックレスには王族の証である紋章が入っている。それを見たこの人は、私がハーメイデンの王族だと気づいたんだ。
どうしよう……もしも彼がクラマインの王族に私のことを話したら、大事になってしまうかもしれない。
面倒なことは避けたくて、私はとにかく頼み込む。
「お願いします、このことは誰にも言わないでください! 用が済んだらすぐに国へ帰りますから」
百八十センチ近くはあるだろう長身の男を見上げて切実に頼むと、彼は表情を変えずに、そっとネックレスから手を放した。