華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
ふいにそんなことを思った瞬間、ズキン!と頭に鈍い痛みが走った。
「痛……っ」
「姫様? どうされました!?」
「あ、大丈夫。ただちょっと、頭が……」
心配してくれるセアリエにはなんてことないというように答えたけれど、鈍痛がする頭の中では、ものすごい早さで記憶が逆戻りしていく。
そうして、どうしてか幼い頃の記憶にたどり着いた。
──見慣れたハーメイデンの城の外、色とりどりの花が咲き乱れる広場で、私は四つ葉のクローバーを探している。
一緒にいる誰かが、それを見つけて私に差し出してくれた。
幸せな気分で、ネックレスのロケットに大事にしまった直後だ、私が悪魔と言われるなにかに襲われたのは。
これまでまったく思い出せなかったあのときのことが蘇ってきたものの、再びやってきた頭痛で霞んでしまう。でも、なんとか思い出したい。
痛みを堪えて必死に記憶をたどると、ひとりの男の子が私の前に立ちはだかって、剣を振りかざす映像が見えた。
そしてその子は、怯える私を守るように抱きしめて声をかけてくれたんだ。
『大丈夫、俺がそばについている』……と。
皆が戦っている声も、馬が駆ける音も聞こえなくなる。
頭の奥で響くのは、つい昨日眠りに落ちる直前に聞いたものと同じ、頼もしいセリフだけ。
「痛……っ」
「姫様? どうされました!?」
「あ、大丈夫。ただちょっと、頭が……」
心配してくれるセアリエにはなんてことないというように答えたけれど、鈍痛がする頭の中では、ものすごい早さで記憶が逆戻りしていく。
そうして、どうしてか幼い頃の記憶にたどり着いた。
──見慣れたハーメイデンの城の外、色とりどりの花が咲き乱れる広場で、私は四つ葉のクローバーを探している。
一緒にいる誰かが、それを見つけて私に差し出してくれた。
幸せな気分で、ネックレスのロケットに大事にしまった直後だ、私が悪魔と言われるなにかに襲われたのは。
これまでまったく思い出せなかったあのときのことが蘇ってきたものの、再びやってきた頭痛で霞んでしまう。でも、なんとか思い出したい。
痛みを堪えて必死に記憶をたどると、ひとりの男の子が私の前に立ちはだかって、剣を振りかざす映像が見えた。
そしてその子は、怯える私を守るように抱きしめて声をかけてくれたんだ。
『大丈夫、俺がそばについている』……と。
皆が戦っている声も、馬が駆ける音も聞こえなくなる。
頭の奥で響くのは、つい昨日眠りに落ちる直前に聞いたものと同じ、頼もしいセリフだけ。