華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
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数ヶ月ぶりにハーメイデンにやってきたある日、リルーナが『四つ葉のクローバーを探したい』と言い、それに付き合うことになった。
彼女は抜け道があることを知っていて、城の外の庭にふたりだけで出たのだが……。安易に外へ出てはいけなかったと、後悔することになる。
緑の絨毯が敷かれたような庭では、四つ葉のクローバーを見つけるのはそれほど難しくはなかった。
しかし、俺が見つけた、幸せになれると言われるそれをあげると、なぜか突き返されてしまった。
「これはフレイヴが持ってて! フレイヴにも幸せになってほしいから」
彼女は真面目な顔で、そんなふうに言う。
まだ五歳のくせに、人のことも気にかけることができるんだな、と妙に感心しつつ、俺は小さく笑みをこぼした。
「俺はいいよ。たぶん、なくても幸せになれるから」
君さえ、そばにいれば。
そのひとことを呟いたのは、心の中でだけ。言っても、まだ意味をわかってもらえないだろうから。
しかし、いつかちゃんと伝えたい、という決意が生まれた。
少々不服そうにしていたリルーナだったが、クローバーを受け取るとすぐに嬉しそうな表情になり、まだ彼女には不釣り合いなネックレスのロケットに大事にしまっていた。