華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
そのときだ。なにか悪巧みしているような雰囲気を漂わせる男ふたりが、すぐ近くに迫ってきていることに気づいたのは。
直感的に危険を察知した俺は、リルーナを背後に隠すように立つ。長身の男たちの目は、戸惑う彼女に釘づけになっている。
「奇遇だな。こんなところに“悪の力”を持つ姫がいるなんて」
わずかに右の口角を上げるひとりの男の言葉を聞いた瞬間、ギクリとした。
なぜなら──リルーナは生まれつき危ない力を持っていることを、俺も知っていたから。
その力というのは、自分に危険が迫ったとき、自らの意思に関係なく相手を傷つけてしまう、というもの。
フェルベートの家系には、実は昔からその魔力を持つ者がたびたび現れていたのだという。リルーナも、数少ないそのうちのひとりなのだ。
リルーナの力が目覚めてしまったのは、まだ三歳の頃。
遊び回っていた彼女が城内の馬小屋に入ってしまい、機嫌が悪かった馬が暴れたときのことだ。
前足がリルーナに当たりそうになった瞬間、その馬は悲鳴を上げ、足から血を流して倒れた。
一部始終を目撃していた騎士によると、リルーナは本当になにもせず、突然馬が怪我をしただけだったらしい。ただ、彼女の目は赤く光っていたように見えたという。
直感的に危険を察知した俺は、リルーナを背後に隠すように立つ。長身の男たちの目は、戸惑う彼女に釘づけになっている。
「奇遇だな。こんなところに“悪の力”を持つ姫がいるなんて」
わずかに右の口角を上げるひとりの男の言葉を聞いた瞬間、ギクリとした。
なぜなら──リルーナは生まれつき危ない力を持っていることを、俺も知っていたから。
その力というのは、自分に危険が迫ったとき、自らの意思に関係なく相手を傷つけてしまう、というもの。
フェルベートの家系には、実は昔からその魔力を持つ者がたびたび現れていたのだという。リルーナも、数少ないそのうちのひとりなのだ。
リルーナの力が目覚めてしまったのは、まだ三歳の頃。
遊び回っていた彼女が城内の馬小屋に入ってしまい、機嫌が悪かった馬が暴れたときのことだ。
前足がリルーナに当たりそうになった瞬間、その馬は悲鳴を上げ、足から血を流して倒れた。
一部始終を目撃していた騎士によると、リルーナは本当になにもせず、突然馬が怪我をしただけだったらしい。ただ、彼女の目は赤く光っていたように見えたという。