華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
「やめて！」というリルーナの叫び声が響く中、必死に攻防を繰り返していたが、やはり相手は大人の男ふたり。一瞬の隙に蹴り飛ばされ、剣も手放してしまった。


「フレイヴ！」


なんとか上体を起こす俺に駆け寄ってきたリルーナは、泣きながら俺を抱きしめ、恐怖に怯えながらもキッと男たちを睨んだ。

その瞬間、ひとりの男が突然自分の胸を押さえて呻きだす。

膝から崩れ落ち、もがき苦しむ様を見て、背中に冷や汗が流れた。

まさか、これがリルーナの力……？　まずい、このままでは死なせてしまうかもしれない。

どうにかして止めなければと、なにが起こっているのかわからないような様子で呆然とする彼女の頭を、自分の胸に引き寄せた。


「リルーナ、落ち着け」


そうして赤く光る瞳を隠すと、細く小さな手が俺の服をぎゅっと掴む。


「怖いよ、フレイヴ……っ」

「大丈夫、俺がそばについている」


安心させるように囁き、あやすように髪を撫でた。

ほどなくして騎士たちが駆けつけ、騒然とする中、俺はしっかりとリルーナを抱きしめ続けていた。


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