華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情

その後、男たちは取り押さえられ、心臓が苦しそうにしていた男も一命を取り留めたらしい。

眠ってしまったリルーナを彼女の部屋に運んだあと、俺は父のノルカームとアドルク陛下が話し合いをしている場に乗り込んだ。


今回の事態は深刻で、陛下は今後リルーナを城から出さないことに決めたという。

彼女が持つ力は、皆成人する頃には自然と消滅していたそうで、それまでは安全な場所でかくまおうという魂胆だ。

しかし、彼女を狙った男たちは、実は少し前まで城で仕えていた使用人だったことが判明し、城内にいるすべての者が信じられなくなってしまった。

また同じようなことが起こるかもしれない。それに、リルーナの心の傷も心配だ。

眠りから覚めて、襲われたことを思い出し、自分の危険な力についても理解してしまったら、相当なショックを受けるはず。

どうしたらよいかと考えを巡らせていると、父がこんな提案をした。


「リルーナ姫の力に関して知っている者から、その記憶を消し去る、というのはいかがでしょう。姫の記憶からも、今日起こった出来事を消すのです」


その大胆かつ非現実的な考えに、アドルク陛下は目をしばたたかせる。

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