華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
しばらく思案したあと、意を決して口を開く。
「……僕が、身代わりになります」
静かな部屋に俺の声が響き、ふたりの視線がこちらに集中する。
「僕が危険な力を持つ者だと噂を流しておけば、きっとリルーナ姫から敵の目を逸らすことができます」
俺が思いついたのは、そんなカモフラージュだった。
事実、俺は魔力だとかの類ではないが、少し人と違う能力を持っているからだ。
その能力とは、魔物を退治することができる、というもの。
古くから森に住み着いている彼らが唯一苦手とする剣があり、それを扱って倒すことができるのは、今現在は俺くらいしかいない。
剣術を習い始め、祭壇に祭られていたその剣に触れたとき、刃が青く輝いた。
それを見た父に森へ連れられていったところ、誰も手に負えなかった魔物を切りつけることができたのだ。
これを利用すれば、“魔物を倒せるのは俺に魔力があるからだ”と、人々に思わせることができるのではないだろうか。
それに、エメラルドグリーンの瞳を持つ者は、クラマインでは稀だとされている。
生まれつき、家族の中で俺の瞳の色だけが違うのだが、これも特殊な人間だと印象づける要素になるかもしれない。
「……僕が、身代わりになります」
静かな部屋に俺の声が響き、ふたりの視線がこちらに集中する。
「僕が危険な力を持つ者だと噂を流しておけば、きっとリルーナ姫から敵の目を逸らすことができます」
俺が思いついたのは、そんなカモフラージュだった。
事実、俺は魔力だとかの類ではないが、少し人と違う能力を持っているからだ。
その能力とは、魔物を退治することができる、というもの。
古くから森に住み着いている彼らが唯一苦手とする剣があり、それを扱って倒すことができるのは、今現在は俺くらいしかいない。
剣術を習い始め、祭壇に祭られていたその剣に触れたとき、刃が青く輝いた。
それを見た父に森へ連れられていったところ、誰も手に負えなかった魔物を切りつけることができたのだ。
これを利用すれば、“魔物を倒せるのは俺に魔力があるからだ”と、人々に思わせることができるのではないだろうか。
それに、エメラルドグリーンの瞳を持つ者は、クラマインでは稀だとされている。
生まれつき、家族の中で俺の瞳の色だけが違うのだが、これも特殊な人間だと印象づける要素になるかもしれない。