華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
しかし、国民を騙していたことには変わりないし、皆は本当に納得するだろうか。
まだ渋い顔をする俺に、父は頼もしい表情でさらにこう言った。
『市民を困らせていた山賊を討伐した今、お前に感謝はしても、文句を言う者はおるまい。
それに……守るもののために、自らの地位を犠牲にして立ち向かった。それは紛れもない事実だ』と。
父の声には力強さと説得力があり、俺の心はぐらぐらと揺れた。
嘘偽りなく本音を言えば、もとの位に戻りたい。
しかし、ジルのことも当然気にかかる。彼にとってみれば、手にした第一王子の座をまた譲り渡すことになるのだから。
さぞ屈辱的なのではないか……と心配していたものの、予想に反してジルも父同様あっけらかんとしていた。
『第一王子でいるのは期間限定だって、知っててOKしたに決まってるだろ。俺、王位とかそこまで執着しないし』
軽く笑ってそんなふうに言われた俺は、いやもっと気にしたほうが……と内心つっこんでしまったことは内緒にしておく。
とにかく、ジルもそう言ってくれたおかげで、俺の天秤が傾いた。
俺がいない間しっかり王座を守ってくれていたジルに深く感謝し、フレイヴ王太子としての名声を取り戻すことに決めたのだった。
まだ渋い顔をする俺に、父は頼もしい表情でさらにこう言った。
『市民を困らせていた山賊を討伐した今、お前に感謝はしても、文句を言う者はおるまい。
それに……守るもののために、自らの地位を犠牲にして立ち向かった。それは紛れもない事実だ』と。
父の声には力強さと説得力があり、俺の心はぐらぐらと揺れた。
嘘偽りなく本音を言えば、もとの位に戻りたい。
しかし、ジルのことも当然気にかかる。彼にとってみれば、手にした第一王子の座をまた譲り渡すことになるのだから。
さぞ屈辱的なのではないか……と心配していたものの、予想に反してジルも父同様あっけらかんとしていた。
『第一王子でいるのは期間限定だって、知っててOKしたに決まってるだろ。俺、王位とかそこまで執着しないし』
軽く笑ってそんなふうに言われた俺は、いやもっと気にしたほうが……と内心つっこんでしまったことは内緒にしておく。
とにかく、ジルもそう言ってくれたおかげで、俺の天秤が傾いた。
俺がいない間しっかり王座を守ってくれていたジルに深く感謝し、フレイヴ王太子としての名声を取り戻すことに決めたのだった。