華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
驚きで目を丸くしていると、セイディーレという男は、涼しげな顔でこんなひと言を返す。
「いや、身の程知らずのネズミがいただけだ」
“身の程知らずのネズミ”……って私!? なんて失礼な!
キッと睨みつけるも、意地悪な彼は手綱を引いて馬の向きを変えながら、私に最後のアドバイスをする。
「喰われて死ぬのが嫌なら、おとなしく引き返せ」
それだけ言うと、彼は馬のお腹を蹴り、騎士と一緒に城のほうへと颯爽と去っていってしまう。それを見送りながら、私は大きく息を吐き出した。
一体なんだったのかしら、あの人は。魔物がいるっていうのは、もしかして私をここに入らせないための出まかせ?
いやでも、魔物が出る出ないにかかわらず、夜は危険なことに変わりない。明るいうちに戻らないと。
「……とにかく、行くしかないんだから」
苦しんでいるお父様を頭によぎらせ、恐怖を振り払う。
メーラの手綱をぎゅっと握り、意を決して森の中へと足を進めた。
「いや、身の程知らずのネズミがいただけだ」
“身の程知らずのネズミ”……って私!? なんて失礼な!
キッと睨みつけるも、意地悪な彼は手綱を引いて馬の向きを変えながら、私に最後のアドバイスをする。
「喰われて死ぬのが嫌なら、おとなしく引き返せ」
それだけ言うと、彼は馬のお腹を蹴り、騎士と一緒に城のほうへと颯爽と去っていってしまう。それを見送りながら、私は大きく息を吐き出した。
一体なんだったのかしら、あの人は。魔物がいるっていうのは、もしかして私をここに入らせないための出まかせ?
いやでも、魔物が出る出ないにかかわらず、夜は危険なことに変わりない。明るいうちに戻らないと。
「……とにかく、行くしかないんだから」
苦しんでいるお父様を頭によぎらせ、恐怖を振り払う。
メーラの手綱をぎゅっと握り、意を決して森の中へと足を進めた。