華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
「十三年前は、身代わりになることでしか守れないと思っていた。でもこれからは違う。俺がずっとそばで守ってやる」


力強く宣言され、じわりと涙が込み上げる。こんな私のことを、まだ守ろうとしてくれるなんて。


「どうして、そこまで……」


一度目線を外して呟いた。鼻をすすり、瞬きをして再び見上げるけれど、彼の顔はぼやけて輪郭をなくしていく。


「私のせいで、あなたは王位を失ったのよ。私が、あなたの人生を壊した。なのに、どうして……っ!?」


私なんて見捨ててしまえば、フレイヴはずっと王太子として生きられた。悪魔だとか冷酷だとか、人格を否定されるようなこともなかったのに。

ぼろぼろと涙をこぼしながら思いを吐き出すと、次の瞬間、視界が暗くなり、身体がふわりと包み込まれた。

彼の腕の中は、安心する香りが鼻腔をくすぐり、不思議なほど気持ちが落ち着いていく。


「どうしてそこまでするかって? お前が言ってくれたことと同じだよ」

「え……?」


優しく抱きしめる彼は、私にしか聞こえないくらいの声量で、甘く囁く。


「そんなの、好きだからっていう理由以外にない」

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