華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
一方セアリエは、フレイヴを悪魔呼ばわりしてしまったことに対して、だいぶ負い目を感じているようで……。


「フレイヴ殿下、その節は大変不躾なことをしてしまい、誠に申し訳ありませんでした!」


教会からクラマインの城に移動し、大広間で宴が始まってすぐのこと。

皆より一段高い場所に座る私たちの近くにやってきたセアリエは、床に片膝をついて大袈裟に謝罪した。

これで何回目だろう。フレイヴと会うたびにこうやって謝っている気がする……。

何事かと皆の注目を集めるセアリエに、フレイヴは内心呆れているに違いないけれど、表面上は穏やかに微笑んで言う。


「そんなに謝らないでください。あなたがああやって疑ったのは当然ですし、私はなにも気にしていませんから」

「しかし! 一国の王子とあろうお方を悪人扱いしてしまった私は、どんなに謝罪しても償いきれません。煮るなり焼くなり吊るすなり、どうぞ殿下のお好きなように……!」

「目立つのでいい加減やめてもらっていいですか」


跪いたまま言い続けるので、フレイヴは口の端を引きつらせ、棒読みになってしまった。

まったく、セアリエは相変わらず真面目というか、熱血というか……。

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