華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
その直後、私を見下ろす妖艶な瞳に視線が捉えられた。そしてそっと肩を抱かれ、耳元でセクシーな声が囁く。


「“飽きた”なんて言葉は忘れるほど、毎晩満たしてやるから」


──ぞくりとした感覚とともに、急激に心臓が暴れ始める。

もう、皆がいる中でこういうことを言わないでよ! 私があなたに飽きるわけないんだから……。

顔を火照らせ、腰が砕けそうになっている私と、余裕の笑みを浮かべるフレイヴを見て、マジーさんは「必要なさそうだな」と呟き、にんまりと笑っていた。


 *


長らく続いた宴も終わり、時計の針が夜の十時を差す今、ようやく部屋に向かっているところ。

……と言っても、今夜から過ごすのはクラマインの城の中の一室。初めての場所であるため、完璧に気を休めることはできなさそう。

いや、くつろげない一番の理由は、ひとりで眠るわけじゃないから。

夫と妻の寝室は別々になっているものの、腰を抱かれているこの状況では、有無を言わさずフレイヴの部屋へ連れられていくことになりそうだ。

お披露目は終わったのに、また別の緊張でいっぱいになっている。別れ際にソルレがあんなことを言うから……。

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