華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
「……お前は変わってないな」


ぽつりと口にされたその言葉に首をかしげたのもつかの間、クローバーを持つ手に彼のそれがそっと重ねられる。

反対の手で頭を引き寄せられ、おでこが彼の胸にトンと当たった。


「四つ葉なんてなくても、俺は十分幸せだ。リルーナさえ、そばにいれば」


噛みしめるように紡がれた声は、じわじわと私の胸を温かくしていく。

同じ気持ちでいられることが嬉しい。口元を緩ませ、自然と彼の背中に手を回していた。

こうやってお互いの想いを幾重にも重ねて、年老いていけたらいいな。


「ようやく言えた……」


フレイヴはなんだか満足げに呟くけれど、一体なんのことだろう。


「うん?」

「なんでもない。もう少し、このまま」


顔を上げようとしたものの、また頭を優しく押さえられ、髪にキスをされて、些細な疑問はどこかへ飛んでいった。

彼の言う通り、今はただ、なによりも大切な宝物を抱きしめていよう。

捧げ合ったこの愛が、いつまでも輝き続けることを信じて。




 *゜:.。End:..:*゜


< 258 / 259 >

この作品をシェア

pagetop