華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
「あれだけ言ったのに、本当に森に入るとは……勇気があるのかバカなのか」
気だるげに腕を組む彼の声には、呆れが滲んでいる。
バカってひどい……けど、そうだよね。忠告してくれていたのに、それを無視してこんなに暗くなるまで森にいて、案の定襲われそうになったんだもの、反論の余地もない。
がっくりとうなだれる私を慰めるように、メーラが頬ずりしていた。
セイディーレは寄り添う私たちを見下ろしたまま問いかける。
「アルツ草は見つかったのか?」
「はい……あ!」
いけない、今の騒ぎで枯れてしまってないかな!?
慌てて籠の中を覗くと、朱色の花も緑の葉も、ちゃんと生き生きとしていた。ストレスに弱い植物だというから焦ったけど、とりあえず大丈夫だったみたい。
「あぁよかった、枯れてなくて」
「目的が済んだなら早く出るぞ」
ほっと胸を撫で下ろす私はさておき、セイディーレはさっさと馬に乗ろうとする。私も急いであとを追おうとした、のだけれど。
「あ、ま、待って!」
足に力が入らず立てないことに気づき、思わず引き留めた。彼は怪訝そうに振り返る。
気だるげに腕を組む彼の声には、呆れが滲んでいる。
バカってひどい……けど、そうだよね。忠告してくれていたのに、それを無視してこんなに暗くなるまで森にいて、案の定襲われそうになったんだもの、反論の余地もない。
がっくりとうなだれる私を慰めるように、メーラが頬ずりしていた。
セイディーレは寄り添う私たちを見下ろしたまま問いかける。
「アルツ草は見つかったのか?」
「はい……あ!」
いけない、今の騒ぎで枯れてしまってないかな!?
慌てて籠の中を覗くと、朱色の花も緑の葉も、ちゃんと生き生きとしていた。ストレスに弱い植物だというから焦ったけど、とりあえず大丈夫だったみたい。
「あぁよかった、枯れてなくて」
「目的が済んだなら早く出るぞ」
ほっと胸を撫で下ろす私はさておき、セイディーレはさっさと馬に乗ろうとする。私も急いであとを追おうとした、のだけれど。
「あ、ま、待って!」
足に力が入らず立てないことに気づき、思わず引き留めた。彼は怪訝そうに振り返る。