華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
フェルベート家の二人姉妹の妹である私は、幼い頃のある出来事がきっかけで、あまり城の外には出されず、よく言えば大事に育てられきた。

外の世界を知らないことは、とても寂しかったのだけれど。

そのため国民の皆も、私の存在は知っていても姿を見ることはほとんどなかったのだ。

今日の婚約パーティーでは、クラマインの王族だけでなく、ハーメイデンの貴族や伯爵も集うことになっている。おそらく、私を初めて見る人が多いだろうから、やっぱり多少は緊張してしまう。

ソルレはしゃがんで私と目線を合わせ、勇気づけるように言う。


「姫様はとても美しいです。ミネル様とはまた違った魅力をお持ちですのよ」


ミネルというのは私の姉で、すでに結婚しており、彼女の夫がハーメイデンの王太子を担っている。

ミネルはとても綺麗で、大人の色気や気品を感じる、妹の私から見ても素敵な女性だ。

一方の私は、緩いS字を描く長い髪は暗めのシナモン色で、顔立ちもぱっとしない。一応目はぱっちり二重だし唇もふっくらしていて、姉様と似た顔なのに……なんと言うか、華やかさがないのだ。

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