華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
そして、小さなガラスの入れ物に入った、透明な液体を軽く揺すってみせる。


「薬ももうすぐできるぞ。アルツ草の成分は抽出し終わったから、あとは調合するだけだ」

「ありがとうございます!」


私は思わず胸の前で手を組み、目を輝かせてお礼を言った。早くお父様に届けてあげたい……!

すると、マジーさんは奥のキッチンからなにかを持ってこちらにやってくる。

「また長旅になるだろうから食べていきな」と言って差し出されたものは、昨日と同じライ麦パンと、野菜がたくさん入った温かいスープ。

ここまで気遣ってくれることが本当にありがたくて、私は何度もお礼を言うのだった。


昨日と同じくテーブルに座って食事をいただいていると、コーヒーを持ってきたマジーさんが、真面目な様子でこんなことを言う。


「ハーメイデンとの国境に近いクラマインの森では、山賊がうろうろしてるから十分気をつけるんだぞ」


それは初耳で、私はスプーンでスープをすくったまま止まり、目を丸くする。


「山賊がいるんですか?」

「あぁ。金品を狙って、通りすがりの者を襲う。セイディーレたちが討伐していはいるが、なかなか手に負えないようでな。あんたが昨日何事もなく来れたのは奇跡のようなもんさ」

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