華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
驚いてバッと顔を上げると、そこにいたのは茶色いチュニックを太いベルトで締めた服装の、大柄な男。

腰に重そうな剣を差している彼が、ドスが効いた声で言う。


「ほう……お高そうなネックレスじゃねぇか」


傷跡だらけの強面の顔を見た瞬間、マジーさんが言っていたことを思い出した。

『ハーメイデンとの国境に近いクラマインの森では、山賊がうろうろしてるから十分気をつけるんだぞ』

まさか、この人は山賊……!?

ギクリとして目を見張る私を見下ろし、男は卑しい笑みを浮かべる。


「こんなところでなにしてるんだい? お嬢ちゃん」


威圧感たっぷりの彼に身体を強張らせていると、木の陰からもうひとり、ふたりと、同じような恰好をした男たちが現れた。

目の前にいる彼よりも小柄だけれど、片方の目に眼帯をしていたり、服はボロボロだったり、異様な雰囲気を漂わせている。

絶対山賊だ。いけない、早く立ち去らなきゃ!

恐怖と焦燥にかられながらも、大切なネックレスは取り返したくて、なんとか声を上げる。

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