華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
「そのネックレス……返してください!」

「あぁ? これはそんなに大事なモンなのか?」


一番大柄な男が掲げてみせるネックレスを、ほかのふたりも興味深げに眺める。そして、私に目線を戻した男が、ニタリと笑ってみせた。


「だったら、なおさら返したくはないねぇ」


う、嘘でしょ……! 酷い!

反論しようとするも、じりじりとほかのふたりが迫ってきて、息を呑む。


「こんなに可愛い子に会ったの久々だぜ」

「このお嬢ちゃんごともらっていくか」


最悪の展開になりそうで、激しく危機を感じる私の背中に冷や汗が伝った。

昨日のように、助けてくれる人は現れそうもない。ここは自分でなんとかするしか……。

マジーさんからもらった薬のことを思い出し、男たちにバレないようにポーチに右手を入れる。しかし、左腕をぐっと掴まれてしまい、「きゃっ!」と悲鳴を上げた。

その瞬間、怒ったような鳴き声を上げたメーラが、なんと私の腕を掴んだ男を前足で突き飛ばしたのだ。


「メーラ!?」

「うわぁぁ、なんだこの馬……っ!」


男たちに怯むことなく攻撃するメーラ。その隙に私は瓶を取り出し、すぐさま蓋を開けると、男たちに向かってザッと粉を振りまいてやった。

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