華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
逞しい腕の中でもがいていると、城のほうから呆れたような声が聞こえてきた。
「落ち着きなさいセアリエ。リルーナを抱きしめたいのは私だって同じなのよ?」
フルートの音色のような綺麗な声で、私もセアリエもはっとする。
バッと身体を離し、正気に戻ったような彼は、「私としたことが、とんだご無礼を!」と、慌てて謝った。
ここまで熱血さを露わにされたのは初めてだけれど、なんだか笑えてしまう。
私は気にしていないというように首を横に振り、こちらに近づいてくるもうひとりの人物に目を向けた。
淡いスミレ色の品があるドレスを纏い、嬉しそうに微笑むその姿を見て、さらに笑顔の花を咲かせる私は、今度は自ら彼女の胸に飛び込む。
「姉様!」
「おかえりなさい、リルーナ。どこも怪我したりしてない? 大丈夫?」
私を抱き留め、優しく髪を撫でながら気遣ってくれるミネル姉様に、こくこくと頷いた。
セアリエの、男の人の匂いや腕の力にはどぎまぎしてしまったけれど、姉様の匂いはすごく安心する。
帰ってきたんだと実感しながら、私は締まりのなくなった顔を上げる。
「ちゃんと薬も手に入れたの。早くお父様のところに行きましょう」
頷く姉様と、私たちを微笑ましげに見守っていたセアリエ、そしてメーラと一緒に、城の中へと向かった。
「落ち着きなさいセアリエ。リルーナを抱きしめたいのは私だって同じなのよ?」
フルートの音色のような綺麗な声で、私もセアリエもはっとする。
バッと身体を離し、正気に戻ったような彼は、「私としたことが、とんだご無礼を!」と、慌てて謝った。
ここまで熱血さを露わにされたのは初めてだけれど、なんだか笑えてしまう。
私は気にしていないというように首を横に振り、こちらに近づいてくるもうひとりの人物に目を向けた。
淡いスミレ色の品があるドレスを纏い、嬉しそうに微笑むその姿を見て、さらに笑顔の花を咲かせる私は、今度は自ら彼女の胸に飛び込む。
「姉様!」
「おかえりなさい、リルーナ。どこも怪我したりしてない? 大丈夫?」
私を抱き留め、優しく髪を撫でながら気遣ってくれるミネル姉様に、こくこくと頷いた。
セアリエの、男の人の匂いや腕の力にはどぎまぎしてしまったけれど、姉様の匂いはすごく安心する。
帰ってきたんだと実感しながら、私は締まりのなくなった顔を上げる。
「ちゃんと薬も手に入れたの。早くお父様のところに行きましょう」
頷く姉様と、私たちを微笑ましげに見守っていたセアリエ、そしてメーラと一緒に、城の中へと向かった。