華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
「危ないことも、知らないこともたくさんあったけど、素敵な出会いもあった。いろいろと勉強になる旅だったわ」
ゆるりと口角を上げていた私は、すぐに表情を暗くして、ひとつだけ起こってしまった、とても残念な出来事をぽつりと口にする。
「ただ、お母様のネックレスを落として、山賊に盗られちゃって……」
ネックレス自体もだけれど、ロケットの中に入れていた四つ葉のクローバーも、私にとっては特別なものだった。
おそらく城の中庭で見つけたのだろうけど、いつ入れたのかは覚えていない。それほど前から大事にしていて、いつの間にかお守りみたいになっていたのだ。
それが今、ここにないことが無念でならない。
「すごく大切なものだったのに……本当に悔しい」
心許ない胸元でぎゅっと手を握り、下唇を噛みしめた。
姉様は私の心中を察してくれたのか、すっと腰を上げると、俯く私のそばに来てそっと肩に手を置く。
「仕方ないわ、命には代えられないもの。リルーナが無事でよかった。お母様もそう思ってるわよ、絶対」
優しく慰めの声をかけてくれる彼女と、静かに微笑むソルレのおかげで、少しだけ気持ちが軽くなっていく気がした。
けれど、心にぽっかりと穴を空けたような虚無感は、しばらく消えることはないだろう。
ゆるりと口角を上げていた私は、すぐに表情を暗くして、ひとつだけ起こってしまった、とても残念な出来事をぽつりと口にする。
「ただ、お母様のネックレスを落として、山賊に盗られちゃって……」
ネックレス自体もだけれど、ロケットの中に入れていた四つ葉のクローバーも、私にとっては特別なものだった。
おそらく城の中庭で見つけたのだろうけど、いつ入れたのかは覚えていない。それほど前から大事にしていて、いつの間にかお守りみたいになっていたのだ。
それが今、ここにないことが無念でならない。
「すごく大切なものだったのに……本当に悔しい」
心許ない胸元でぎゅっと手を握り、下唇を噛みしめた。
姉様は私の心中を察してくれたのか、すっと腰を上げると、俯く私のそばに来てそっと肩に手を置く。
「仕方ないわ、命には代えられないもの。リルーナが無事でよかった。お母様もそう思ってるわよ、絶対」
優しく慰めの声をかけてくれる彼女と、静かに微笑むソルレのおかげで、少しだけ気持ちが軽くなっていく気がした。
けれど、心にぽっかりと穴を空けたような虚無感は、しばらく消えることはないだろう。