華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
姉様はわずかにため息を漏らして言う。
「でも残念ね、フレイヴ殿下に会えなくて」
そう、今回は私もクラマインの王族であるエングレンス家の皆様と会食をする予定なのだけど、肝心のフレイヴ王太子は他国で視察中だそうで、今日会うことはできないらしい。
残念なような、ほっとしたような、複雑な心境だ。
それを表さないように、私はいたずらっぽく笑って微妙に話を逸らす。
「会いたかったのは姉様のほうでしょ」
「そりゃあね。だって、妹をちゃんと大切にしてくれる人か、しっかり見極めたいもの。数回行事で会っただけじゃわからないじゃない」
したり顔をして言い切る姉様。彼女は何回か会ったことがあるけれど、まだ人となりはよくわかっていないようだ。
私のことを心配してくれるその気持ちは、本当に嬉しい。けれど、結婚に向けて着々と事が進められていくのだと思うと、やはり少し気が重くなった。
馬車に揺られること、約五時間。見覚えのある林を抜け、クラマインの街に入った。
以前は森の周辺しか通らなかったため、街並みを見るのは初めてだ。
ハーメイデンと同じくらいの小国であるにもかかわらず、発展しているクラマインは、道も広く建物も密集している。
緑が多くのどかなハーメイデンとは違い、人工も店も多くて、とても都会的な雰囲気だ。
立ち並んでいる商店は、外壁も屋根の色もそれぞれ違うのに、なぜか統一感があり、とてもオシャレに見える。
「でも残念ね、フレイヴ殿下に会えなくて」
そう、今回は私もクラマインの王族であるエングレンス家の皆様と会食をする予定なのだけど、肝心のフレイヴ王太子は他国で視察中だそうで、今日会うことはできないらしい。
残念なような、ほっとしたような、複雑な心境だ。
それを表さないように、私はいたずらっぽく笑って微妙に話を逸らす。
「会いたかったのは姉様のほうでしょ」
「そりゃあね。だって、妹をちゃんと大切にしてくれる人か、しっかり見極めたいもの。数回行事で会っただけじゃわからないじゃない」
したり顔をして言い切る姉様。彼女は何回か会ったことがあるけれど、まだ人となりはよくわかっていないようだ。
私のことを心配してくれるその気持ちは、本当に嬉しい。けれど、結婚に向けて着々と事が進められていくのだと思うと、やはり少し気が重くなった。
馬車に揺られること、約五時間。見覚えのある林を抜け、クラマインの街に入った。
以前は森の周辺しか通らなかったため、街並みを見るのは初めてだ。
ハーメイデンと同じくらいの小国であるにもかかわらず、発展しているクラマインは、道も広く建物も密集している。
緑が多くのどかなハーメイデンとは違い、人工も店も多くて、とても都会的な雰囲気だ。
立ち並んでいる商店は、外壁も屋根の色もそれぞれ違うのに、なぜか統一感があり、とてもオシャレに見える。