華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
しかし、それからどう会話を繋げようかと悩んでしまい、沈黙が訪れる。必死に言葉を探していると、セイディーレが先に口を開いた。
「こちらと同じような部屋が隣にもうひとつあり、二階には来客用の寝室なども……」
「せ、説明はもう大丈夫! ありがとう」
あぁ、また“閣下”に戻られてしまった! せっかく他人行儀じゃなくなったと思ったのに。
慌てて制止すると、セイディーレは訝しげに眉をひそめる。
「城の中を見学したかったんじゃないのか?」
「それは、セイディーレを探したかったからで」
正直に白状すると、彼は気だるげにソファの背に軽く腰かけ、腕を組む。
「お前は相当頭が弱いんだな。あんなふうにされたっていうのに、まだ俺のことに構うなんて」
遠慮なく私をけなしてくる彼は、あの時と同じ。でも、今は不思議と苛立ちもショックも湧いてこない。
“あんなふうにされた”というのは、マジーさんの小屋での一件のことだろう。あのときはいくらかダメージを受けたけれど、今となってはなんてことない。
私は腰に手を当て、しれっとした顔で思い切って言う。
「あれで牽制したつもり? 全然怖くなんてなかったわよ」
「こちらと同じような部屋が隣にもうひとつあり、二階には来客用の寝室なども……」
「せ、説明はもう大丈夫! ありがとう」
あぁ、また“閣下”に戻られてしまった! せっかく他人行儀じゃなくなったと思ったのに。
慌てて制止すると、セイディーレは訝しげに眉をひそめる。
「城の中を見学したかったんじゃないのか?」
「それは、セイディーレを探したかったからで」
正直に白状すると、彼は気だるげにソファの背に軽く腰かけ、腕を組む。
「お前は相当頭が弱いんだな。あんなふうにされたっていうのに、まだ俺のことに構うなんて」
遠慮なく私をけなしてくる彼は、あの時と同じ。でも、今は不思議と苛立ちもショックも湧いてこない。
“あんなふうにされた”というのは、マジーさんの小屋での一件のことだろう。あのときはいくらかダメージを受けたけれど、今となってはなんてことない。
私は腰に手を当て、しれっとした顔で思い切って言う。
「あれで牽制したつもり? 全然怖くなんてなかったわよ」