華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
「なっ、何言ってるの!? あなたひとりに行かせられるわけないじゃない! せめて騎士を何人かつけて……」
「アルツ草は不思議な植物で、人が大勢来るとストレスで枯れちゃうんですって」
落ち着いて言うと、姉様は怒ったような困ったような顔で押し黙る。
ほとんど城から出ることがなかった私がひとりで隣国へ向かうなんて、当然心配よね。
だけど、姉様が思うよりずっと、私は外の世界のことを知っているのよ。本はたくさんのことを教えてくれたから。
私は確かな自信を持って、にこりと微笑む。
「大丈夫。クラマインへの道もちゃんと頭に入ってるし、買い物や宿泊の仕方もわかってるから」
「でも、途中で動物とか、人さらいに襲われたりしたらどうするのよ!?」
「馬に乗っていれば逃げられるわ。それで、誰かに助けを求めればいい」
問題提議する姉様だけど、私が即座に返すと、心底困ったように大きなため息を吐き出した。
長い前髪を分けて露わになっている額に手をあて、少し考えたあと、厳しい表情のまま力強い声で言う。
「ダメよ。あなたは一国の王女で、私の大事な妹なんだから。危険な目に遭うかもしれないのに、易々と行かせられるわけがない」
「アルツ草は不思議な植物で、人が大勢来るとストレスで枯れちゃうんですって」
落ち着いて言うと、姉様は怒ったような困ったような顔で押し黙る。
ほとんど城から出ることがなかった私がひとりで隣国へ向かうなんて、当然心配よね。
だけど、姉様が思うよりずっと、私は外の世界のことを知っているのよ。本はたくさんのことを教えてくれたから。
私は確かな自信を持って、にこりと微笑む。
「大丈夫。クラマインへの道もちゃんと頭に入ってるし、買い物や宿泊の仕方もわかってるから」
「でも、途中で動物とか、人さらいに襲われたりしたらどうするのよ!?」
「馬に乗っていれば逃げられるわ。それで、誰かに助けを求めればいい」
問題提議する姉様だけど、私が即座に返すと、心底困ったように大きなため息を吐き出した。
長い前髪を分けて露わになっている額に手をあて、少し考えたあと、厳しい表情のまま力強い声で言う。
「ダメよ。あなたは一国の王女で、私の大事な妹なんだから。危険な目に遭うかもしれないのに、易々と行かせられるわけがない」