華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
「いい眺め……! お花もいっぱいだし野菜も生ってるし、すごい!」
「陛下の趣味のひとつは菜園だからな。城のあちこちにあるんだ」
赤く熟れたミニトマトを眺めながら、私は感心するように頷いた。
色とりどりの花が咲く花壇も見回していると、幸せを呼ぶというあの葉をなんとなく探してしまう。
「四つ葉のクローバーはここにはないか。雑草だもんね」
「クローバー?」
手すりに近づくセイディーレが、私の独り言に反応して振り返った。私は彼に微笑み返し、しゃがんでピンク色のアルストロメリアを見ながら言う。
「つい探しちゃうのよね。初めて会ったとき、セイディーレが見てたネックレスがあったでしょ。あの中にも、お守り代わりにずっと入れてたの」
それを聞いていたセイディーレは、少し不思議そうに私の首元を見つめる。
「そのネックレス、今日はしてないのか?」
「あ、えぇ。この間、クラマインから帰るときに山賊に盗られちゃって……」
あのときのことを思い返しつつ、苦笑を漏らした。
今日つけているのは、ルビーがあしらわれた十字架のネックレス。これはこれで可愛いけれど、やっぱり寂しさはある。
「陛下の趣味のひとつは菜園だからな。城のあちこちにあるんだ」
赤く熟れたミニトマトを眺めながら、私は感心するように頷いた。
色とりどりの花が咲く花壇も見回していると、幸せを呼ぶというあの葉をなんとなく探してしまう。
「四つ葉のクローバーはここにはないか。雑草だもんね」
「クローバー?」
手すりに近づくセイディーレが、私の独り言に反応して振り返った。私は彼に微笑み返し、しゃがんでピンク色のアルストロメリアを見ながら言う。
「つい探しちゃうのよね。初めて会ったとき、セイディーレが見てたネックレスがあったでしょ。あの中にも、お守り代わりにずっと入れてたの」
それを聞いていたセイディーレは、少し不思議そうに私の首元を見つめる。
「そのネックレス、今日はしてないのか?」
「あ、えぇ。この間、クラマインから帰るときに山賊に盗られちゃって……」
あのときのことを思い返しつつ、苦笑を漏らした。
今日つけているのは、ルビーがあしらわれた十字架のネックレス。これはこれで可愛いけれど、やっぱり寂しさはある。