華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
なんとなくその十字架を触っていると、セイディーレがいつの間にか食い入るように街のほうを見ていることに気づいた。
急にあんなに真剣な目をして、どうしたのだろう。
「セイディーレ?」
「まさか……」
私の呼びかけなど聞こえていないかのように、重い声色でぽつりと呟いた彼は、いきなりサーコートを翻してこちらに向かってくる。そして、私の腕をぐっと掴み、立ち上がらせた。
「早く来い」
「えっ!?」
突然どうしたというのか、セイディーレは私を引っ張って城の中に入る。そのまま長い廊下を抜け、中央辺りにある階段を下り始めた。
私は転びそうになりながらも、片手でスカートを持ち上げ、必死についていく。
「ちょっと、なに!?」
困惑しまくる私などお構いなしで、セイディーレは足早にどこかへ向かう。
そうして着いたのは、扉の前でセアリエたちが見張っている部屋……お父様たちがいる会議室だった。
軽く息を切らせる私と、その手を引くセイディーレの姿を見たセアリエはギョッとして、中に入ろうとする彼を制する。
「何事だ? まだ会議は終わってな──」
「緊急事態だ、失礼する」
急にあんなに真剣な目をして、どうしたのだろう。
「セイディーレ?」
「まさか……」
私の呼びかけなど聞こえていないかのように、重い声色でぽつりと呟いた彼は、いきなりサーコートを翻してこちらに向かってくる。そして、私の腕をぐっと掴み、立ち上がらせた。
「早く来い」
「えっ!?」
突然どうしたというのか、セイディーレは私を引っ張って城の中に入る。そのまま長い廊下を抜け、中央辺りにある階段を下り始めた。
私は転びそうになりながらも、片手でスカートを持ち上げ、必死についていく。
「ちょっと、なに!?」
困惑しまくる私などお構いなしで、セイディーレは足早にどこかへ向かう。
そうして着いたのは、扉の前でセアリエたちが見張っている部屋……お父様たちがいる会議室だった。
軽く息を切らせる私と、その手を引くセイディーレの姿を見たセアリエはギョッとして、中に入ろうとする彼を制する。
「何事だ? まだ会議は終わってな──」
「緊急事態だ、失礼する」