【短】屋根裏の王子様



……と、いいますと?


「あの部屋には、元々人が住んでいましてね」


「それって、背が高くてカッコよくて、王子様みたいな……」


って、わたし。


管理人さん相手になにを言っているのだろう。


「おや。あの男のこと気に入りましたか?」


顔が熱くなる。


「いや、その……ピンチを助けてもらいまして」


わたしの返事を聞いてクスッと笑うと管理人さんはこういった。


「彼は、あなたが私にすがる姿を見て、ルームシェアしてあげてもいいって申し出てきたんです」


__え?


「これは、ここだけの話にしておいて欲しいのですが。あなたにお支払いをお願いしている家賃は、あの部屋の正規料金じゃないんです」


「えっ……」


「あの部屋、あんな屋根裏部屋がついていて、広さも一番広い。ほんというと、他の部屋に比べてずっと高いんですよ」


「まさか……わたし、あのお兄さんより少なめに払ってます!?」


「その通り。疑問に思いませんでした? 家賃が安いこと。それから、敷金礼金もサービスしましたよね」

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