【短】屋根裏の王子様
よし。こうなったら……!
「ありがとうございます、管理人さん。今後とも、わたしをあの部屋にいさせて下さい。お兄さんと、しっかり話してきます!」
「……そうですか。それはよかった」
一目散に部屋に戻ると、天井に向かって話し掛けた。
「あ、あの! 天井裏の……お兄さん!」
……しかし、返事はない。
いないのかな?
気になったわたしは、天井裏を訪ねてみることにした。
(ほんとに、ここで生活してるの……?)
クモの巣がはった薄暗い空間を想像していた。
だけど、そこは__
「わぁ……」
なんともあたたかい空間だった。
まっ白な壁に、まっ白なベッドがひとつ。
あとは、小さな冷蔵庫。それだけだ。
お兄さんはベッドの上で、窓の方を向いて寝ていた。
ここに住みたくなるの、ちょっとわかるかも……。
居心地が、とても良さそうだから。
窓から差す光が部屋全体を照らしているが、夜は、星とか見えたりするのかな。
しかし、わたし……
あの窓の存在を、どうして不思議に思わなかったのだろう。
おっと。
当たり前だけど、天井が低いや。
立ち上がると頭をうつから、かがむ必要がある。