【短】屋根裏の王子様



お兄さんに背中を向けた__そのとき。


「待って」


お兄さんに、呼び止められ


トクン、と大きく心臓が鼓動した。


綺麗な、声。優しい……声。


「起きて……ました?」


振り返ると、お兄さんが寝返りをして、わたしを見ていた。


……やっぱり、王子様だ。


「今、起きた。君の声が聞こえて」


「……そ、そうでしたか」


寝たとこで起こしてすみませんっ……!


「君、名前は?」


「……西野泉(にしのいずみ)、です」


「泉ちゃんね」


パッチリした目に、長い睫毛。


女の子みたい……。


だけど、身体は男の人で……


って、


「は、裸っ……!?」


はらりと布団が脱げ落ちる。


「違うよ。下、はいてるから」


「……そ、そう、ですか」


「泉ちゃんは、このくらいで動揺しちゃうんだ? 海とか行けないねぇ」


「だ、だって……」


こんな至近距離で、上半身裸のイケメンさんを見たのはなにぶん初めてのものでして。


「僕は、光(ひかる)」


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